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起業家の経験を活かし、投資家としてスタートアップを支援する

キッカケインタビュー

2023.08.30

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新卒で株式会社NTTデータに就職し、その後起業を志し断念するも株式会社うるるでエンジニアとしてのキャリアをスタート。そして株式会社ペライチを創業し、代表取締役に就任。現在は退任し、株式会社BOOTの代表取締役をしながらエンジェル投資家としても活動。スタートアップ企業で働き、自ら創業の経験をして現在はさまざまな分野のスタートアップを支援している橋田さんにお話を伺いました。

「ヒトはキッカケがあれば必ず変われる」生き方・働き方を応援するキッカケインタビュー。
第13回目の今回は、株式会社BOOT代表取締役であり、エンジェル投資家でもある橋田一秀さんにお話を伺いました。

新卒で大企業に就職したのち、起業を志すも断念した橋田さん。その後はエンジニアとして経験を積みながら、プライベートでさまざまな方と交流し再び起業を目指すようになります。そして2014年には、株式会社ペライチを創業。2023年4月に全役職を退任すると同時に、株式会社BOOTを設立しました。2022年からはエンジェル投資家としても活動を始め、スタートアップ起業の支援を行っています。橋田さんが起業を志すようになった「キッカケ」や、現在の活動について語っていただきました。
橋田一秀さん

橋田一秀さん

株式会社BOOT代表取締役・エンジェル投資家
2007年に新卒で株式会社NTTデータに就職。1年半勤めたのちに退職し、起業を志すも断念。2009年に株式会社うるるへ就職し、未経験からエンジニアとなる。2014年に株式会社ペライチを創業。3度の資金調達を経て、2020年にラクスル株式会社から大型資金調達を実施。その後2023年4月に全役職を退任し、同時にスタートアップを支援する株式会社BOOTを設立。2022年からはエンジェル投資家として投資活動を開始し、40件ほど実行。

大企業を辞め起業を志すも断念し、モラトリアム期間へ突入

千葉祐大(以下 千葉)

橋田さん、本日はよろしくお願いいたします。橋田さんは現在株式会社BOOTの代表取締役としてもエンジェル投資家としても活躍されていますが、新卒時代はどこからキャリアをスタートされたのでしょうか?

橋田一秀さん(以下 橋田さん)

よろしくお願いいたします。大学を卒業後、株式会社NTTデータに就職しました。とてもいい会社で、優秀な皆さんと大きいものを作っていくのは良い経験になりましたが、大企業に就職して数十年かけて出世コースに乗っていくモデルケースを考えたとき、結構長いなと感じてしまったんです。僕の周囲には好き勝手に生きている友人が多く、その影響を受けたこともあり、会社を辞めて好きなことをしようと考えて入社から1年半後に退職しました。

千葉

なるほど。それでは、NTTデータのあとにはまた違う会社に転職されたのでしょうか?

橋田さん

いいえ。NTTデータを辞めたあと、実はルームシェアしていた友人と起業しようとしたんです。しかし、認識の違いから揉めてしまい、起業は断念しました。ルームシェアを解消して都内の実家に戻り、しばらくは知り合いの仕事を手伝っていましたね。

その期間のことを僕はモラトリアム期間と呼んでいるんですが、モラトリアム期間中にこれからの人生どうしようと考えました。そこで、自分はインターネットが好きだと思ったので、まずはインターネットをやっている会社に入ろうと決めて転職活動を始めたんです。ただ、僕は社会人3年目で半年以上ブランクがあり、しかも当時はリーマンショック直後で転職市場が冷え込んでいたので、転職先が全然決まらなかったんですよね。いろいろな会社を見ましたが、ほとんど書類選考で落ちました。

半年成果を出せずアルバイトになり、その後成長して再び正社員へ

千葉

モラトリアム期間を経て転職活動を始め、転職先はどちらに決まったのでしょうか?

橋田さん

友人の紹介で、株式会社うるるに就職することになりました。2009年の秋に紹介してもらい、面接を受けに行ったんです。当時のうるるはかなりのベンチャー企業だったので、いきなり社長とCTOと面接をしました。

僕は企画が好きなのでディレクターなどの職種に憧れていたんですが、残念ながら当時のうるるでそのような役職は募集していませんでした。エンジニアだったら採用の可能性があると言われましたが、僕はプログラミングがつまらないと感じて何度も挫折していたんです。それでもCTOから、将来自分でサービスを作りたいなら自分でコードを書けたほうがいいと言われ、エンジニアで選考を進めることになりました。

千葉

うるるも今は上場しているすごい会社ですが、ベンチャー時代のリアルなエピソードが聞けるのは楽しいですね。

橋田さん

ベンチャーならではのエピソードがもうひとつあって、一次面接が終わったあといきなり社長から飲みに行こうと言われたんです。合否も明らかになっていない状態で、社長と副社長と紹介してくれた友人と僕の4人で飲みに行きました。そのとき、経営陣の皆さんがすごくいい人たちだなと思い、もし合格したらうるるに入社したいと思ったんですよね。そして一次面接のあと二次面接にも合格し、無事入社が決まりました。

千葉

再び会社員となったうるるでは、どのようなことをされていたのでしょうか?

橋田さん

2009年末に入社した直後は、デスクに6冊ほど積まれたプログラミングの本でひたすら勉強していました。当時はプログラミングスクールやオンラインプログラムなどもなかったので、ローカルのパソコンに環境を作って本と同じように書き写して学ぶしかなかったんですよね。新卒1年目と同じくらいの給料をもらいながらプログラミングを学べたのは、かなりありがたかったです。

ただ、僕は最初プログラミングの素質がなくて、使い物にならなかったんですよ。半年ほど経っても全然できるようにならなかったので、試用期間でクビになると覚悟していました。実際、試用期間が終わりそうなときCTOに呼ばれてご飯を食べに行き、現状成果が出ていないからこのまま雇い続けるのは難しいという話をされました。

そのCTOに「ベンチャー起業で働くなら、普通じゃダメ。ちょっとすごいくらいじゃないと難しい」と言われて、ごもっともだと思いました。ただ、僕は成果は出せていなかったものの結構本気でプログラミングに取り組んでいたので、うるるでダメだったとしてもエンジニアの道を諦めずに転職しようと考えていたんです。それを伝えたところ、正社員ではなくアルバイトとして雇うことはできるとCTOが言ってくれたので、時給1,000円ほどのアルバイトになりました。

千葉

橋田さんにそんな時代があったのですね。全然知りませんでした。

橋田さん

手取りが3万円くらい減りましたが、それでも雇ってもらえました。そしてあるとき仕事を任せてもらって、そこでグッと伸びたんですよね。エンジニアに限らず、人の能力の成長曲線は少し上がって平坦になってというのを繰り返すと思うんですが、僕自身もそうでした。何かをつかんでグッとできるようになって、そこからコンスタントに成果を出せるようになったんです。つかむタイミングが、すごく遅かったんですよね。

そしてアルバイトを続けて半年ほど経った頃、CTOから正社員になるよう伝えられました。紆余曲折ありましたが、うるるには本当にお世話になりましたね。

多くの人と出会い起業への興味を強くし、ペライチを創業

千葉

再び正社員として働くようになったあと、うるるを卒業することにしたきっかけを教えてください。

橋田さん

正社員になって1〜2年ほど経って仕事がそれなりにできるようになり、もともとあった自分でものを作りたい気持ちが強くなりました。そこで、課外活動としてハッカソンに参加するようになったんです。ハッカソンには会社員やフリーランスのいろいろなエンジニアの方がいて、かなり刺激を受けましたね。

それから、ハッカソンで出会った方が開発したCoffeeMeetingというサービスを使い始めました。CoffeeMeetingはFacebookでログインして、空いている時間でお茶しようと誘えるサービスです。そこでエンジニアや起業家、投資家などさまざまな方に会いまくりました。CoffeeMeetingで起業した方から起業や投資の話を聞いて、スタートアップ起業がどういうものなのか学んだのもこの頃ですね。

千葉

この頃から橋田さんは、積極的に行動されているのですね。それからのエピソードも教えてください。

橋田さん

起業への興味が強くなったため、インキュベイトファンド株式会社が週3回開催している朝会に参加するようになりました。朝会は起業家と投資家が集まり、朝7時から9時まで起業家がアイデアをピッチして投資家がフィードバックする場です。そしてインキュベイトキャンプという合宿型のイベントにも参加し、2013年5月にペライチのベースとなるプランを出して出資のオファーをいただきました。

ただし、この時点で出資は受けなかったんですよね。理由は2つあり、1つは妻が反対していたことです。これまでの僕の行動などもあっていわゆる「嫁ブロック」が起こり、説得に半年ほどかかってしまいました。2つ目の理由は、まず自己資金でやろうと決めたことです。創業メンバー3名のうち僕も含めて2名がエンジニアだったので、最初は自己資金でプロダクトをローンチするところまでやって、その後資金調達をしようという結論になりました。

結局、株式会社ペライチは2014年に創業し、2015年にサービスをリリースしました。その後3回の資金調達を経て、事業を成長させていった形です。

自分が得意とするのは0→1だと感じ、社長を交代

千葉

ついに起業したいという希望が叶いましたが、ペライチの転機となるエピソードがあればお話しいただけますか?

橋田さん

ペライチが2018年に3回目の資金調達をする際、VCの方と一緒にエンジェル投資家の方にも入っていただいたんですが、そのうちの1人が株式会社ラクスルの代表取締役社長 CEOである永見さんでした。

2020年にコロナ禍が始まり、スモールビジネスのDXのようなことをしているペライチがたくさん使われるようになって、ありがたいことに事業が伸びていったんです。そのタイミングで資金調達しようと決めて、同年にラクスルから出資をいただきました。過去3回の資金調達で投資家さんの持分となった株式をラクスルに売却いただき、さらに増資という形で新たに株式を発行して合わせて49%に収め、残り51%を創業メンバーが持つようになった形です。ラクスルにいろいろ支援していただきながら、さらに事業を成長させようという決断でした。

千葉

ありがとうございます。それからもともとラクスルにいらっしゃった方がペライチの後任の社長となって橋田さんは退任されたと思うのですが、その辺りのきっかけを教えてください。

橋田さん

2022年6月からペライチの代表取締役CEOになったのが、株式会社ラクスルから取締役COOとして出向していた安井さんです。安井さんは僕たちが弱みとしていたマーケティングに強く、さまざまな知見もあったので幅広い面を見てもらいました。

そして出向から3か月後くらいに、Slackのチャットで安井さんからDMで相談したいことがあると言われました。そこで、ラクスルからペライチに転籍したいと相談されたんです。実際に成果も出されていましたし、そこまで言ってくれるのは非常にありがたかったですね。そのときは諸事情で転籍はできませんでしたが、結果的にその1年半後に社長になっていただきました。

千葉

素晴らしい方と出会えて、創業した会社を任せることができたのですね。

橋田さん

安井さんは能力ももちろんありますが、能力があるだけではスタートアップの社長を途中で交代するのは難しいと思うんです。しかし、彼には何でも自分事化するオーナーシップがありました。さらにキャラ的にも創業メンバーに全く忖度せずに言いたいことを言う方で、会社とユーザーをすごく大切に考えているからこそ僕たちもめちゃくちゃ怒られたことがあります。共通の目的に向かって一緒にやってくれる同志として、素晴らしい方だと思いました。

僕が社長を交代する決断をしたのは、自分自身が得意とするフェーズは0→1を作ることだと感じたからです。だからこそ、事業を成長させる段階に入ったところでもっとふさわしい方に社長をやってもらったほうがいいんじゃないかと考え、そういう人が目の前にいたからお願いしました。

千葉

今の話を聞いて、エンジェル投資家の橋田さんに相談したい起業家が多くいるのがよくわかりました。0→1や資金調達の経験をされた方だからこそ、いろいろな可能性を考えられますよね。

スタートアップの応援に主軸を置くため、新たな会社を設立

千葉

2022年からエンジェル投資家としての活動を始められて、2023年のペライチ代表退任と同時に株式会社BOOTを設立された橋田さん。最後に、その辺りのお話も伺えればと思います。

橋田さん

もう1回自分で改めて会社をやる、もしくはスタートアップを応援するというところに主軸を置くためにペライチを辞めて、BOOTを設立しました。エンジェル投資家は僕個人としてやっていて、BOOTはそれ以外に発生するものを全部拾うための会社という位置付けです。

僕はエンジェル投資家として、スタートアップに興味を持ち始めてこれから創業しようと考えている方とたくさん出会いたいと考えています。だからこそ、そういう方とどんどん接点を持つためのイベントを開催したり、起業を目指す方に役立ちそうなエピソードをPodcastで喋ったりしています。

千葉

橋田さんは本当に、事業立ち上げの部分がとても好きなんですね。

橋田さん

そうですね。本当に得意不得意にかかわらず、いろいろなジャンルのスタートアップに投資をしています。

事業のことは起業家が1番詳しいという前提があるので、事業について細かく口を出すようなことは絶対にしないと決めています。一方で、困ったときにすぐ頼ってもらえる存在になりたい、事業の領域関係なく役に立つようなことを話したいと考えて、現在のような役回りを務めています。

千葉

僕も橋田さんと同い年ですが、創業1期目の会社をやっているのでぜひ相談したいなと思っています。

起業家の方だけではなく、ライフステージの変化でキャリアを変えている方なども橋田さんのお話は参考になると思うので、ぜひご連絡いただければ幸いです。橋田さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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