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問題は、始めるか始めないかだけ。「総ての業務を務める」総務での学び

キッカケインタビュー

2023.09.27

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新卒で人事部門からキャリアをスタートし、その後も一貫して人事・総務を経験。大企業に勤めたあとはミドルベンチャーへ、その後さまざまな新規事業を展開する有名企業へ転職し、それぞれに必要な総務の仕事に従事。一般的なイメージとは異なる前のめりなバックオフィスのスタイルを推進し、総務の業務を社内のサービスととらえてサービスアップ施策を行う高橋さんにお話を伺いました。

「ヒトはキッカケがあれば必ず変われる」生き方・働き方を応援するキッカケインタビュー。
第18回目の今回は、合同会社DMM.comで総務部の部長を務めている高橋応和さんにお話を伺いました。

新卒から現職に至るまで、一貫してバックオフィスの経験を積んできた高橋さん。実はもともと営業に興味を持っていましたが、きっかけとなる出来事を経て総務の魅力に惹かれるようになりました。会社規模や業務内容が異なる3社で、苦手なことに向き合いながら成長を続ける高橋さんのこれまでの歩みを語っていただきました。
高橋応和さん

高橋応和さん

合同会社DMM.com 組織管理本部総務部 部長
2004年に新卒で株式会社オンワード樫山に入社。人事部で4年働いたのち、総務部に異動。庶務実務から株主総会運営まで全般的に従事したほか、自社ビル建て替えプロジェクトに参画。2016年に株式会社トライステージに転職し、総務の体制構築を進める。2019年に合同会社DMM.comに転職し、現職。日本一の総務を目指し、サービスアップ施策を行う。

「人事は人の営業だ」という言葉を受け、自分の気質を活かして業務に取り組む

千葉祐大(以下 千葉)

高橋さん、本日はよろしくお願いいたします。高橋さんは新卒で株式会社オンワード樫山に入社されたとのことですが、学生時代の就職活動の軸を教えていただけますか?

高橋応和さん(以下 高橋さん)

よろしくお願いいたします。就職活動の軸は営業ということだけ定めていて、実は人事や総務をやるとは一切考えていませんでした。業界も商材も絞らず、70社以上の会社を受けましたね。そのなかでご縁があったのがオンワード樫山ともう1社で、営業として自分の好きな服を売ったら楽しそうだと思い、オンワード樫山に入社を決めました。

千葉

おもしろいですね。結果的には人事や総務のキャリアを歩んでいくと思うんですが、当時は営業を志望されていたのですね。

高橋さん

はい。自分のキャラクターとしても話すことや人と会うことが好きな気質を持っているので、営業をやれたら仕事に対するフィッティングもいいだろうと考え、就職活動をしていましたね。

ただし、営業に携わることなく最初から人事に配属されたんです。忘れもしない2004年3月30日、総合職の同期40名が集められて配属先が発表されました。私の名前は最後まで呼ばれず「呼ばれていない人は手を挙げて」と言われて挙手したら「お前は人事だ」と言われ、オチに使われたんです(笑)。

千葉

そのようなことがあったのですね。営業を希望していて突然違う入口に立たされたのは、衝撃だったのではないでしょうか。

高橋さん

本当に、かなりの衝撃でしたね。入社前研修のあいだ、自分は営業をやると思って仕事の仕方などを考えていたんです。人事に配属が決まって、考えていたことは全部崩れ去りましたね。しかも、人事で何をするかも全くわからなかった。同期のメンバーとは仲が良かったので、オチに使われて大爆笑が起きたのは良かったんですが、何をするんだろうという気持ちのまま初出勤日を迎えたのを覚えています。

千葉

予想外の人事スタートでしたが、結局4年間は人事部にいらっしゃったのですね?

高橋さん

そうですね。自分が配属されるとは考えたこともなかった職種の人事でしたが、当時の上司の言葉でポジティブに働けるようになりました。

入社して3か月ほど経った頃に上司と飲みに行ったとき、「人事は人の営業だから」と言われたんです。採用であれば会社を学生に売り込み、制度や組織開発であればそれらを社内に売り込む。そのスタンスは営業と何ら変わらないから、私の気質を活かしてやるのは悪いことじゃない。そう言っていただけて、バックオフィスでも私は営業気質のまま生きていていいんだと実感したんです。それで、今も営業のようなスタンスのバックオフィスで生きています。

千葉

素晴らしいですね。そのようなことがあり、営業に異動することなく人事で4年間働かれたのですね。

高橋さん

はい。人事に4年いるあいだ、メンターだった先輩と反りが合わず苦労したこともありました。人事の仕事はおもしろいと思う一方、メンターの先輩は仕事を丸投げするタイプの方だったので、教えを聞きに行っても答えは「センス」としか返ってこなかったんですよね。

とても苦しくて、苦しさをわかってもらうにはどうしたらいいかを考え、その先輩をよく観察するようになりました。その結果、先輩の魅力やツボのようなものがわかり、だんだんと噛み合わせが良くなっていったんです。そこで人事の仕事に広がりを感じて、またおもしろくなりましたね。

人事から総務へ異動して数年、総務のおもしろさに気づく

千葉

人事の仕事がおもしろいと感じていた高橋さんですが、部署の異動はあったのでしょうか?

高橋さん

そうなんです。人事や総務などのバックオフィス領域は、同じ人が同じ内容を長く担当している状況だったので、ジョブローテーションをすることになりました。総務の平均年齢が55歳と高かったため、若かった私が異動を命じられたんです。

私は人事の仕事を一生懸命やりたいと考えていたので、総務への異動は全然納得できませんでした。人事よりも総務の仕事内容のほうがわからなかったですし、正直外から見ていておもしろそうには見えなかったんです。

千葉

確かに、人事の仕事に前向きに取り組んでいたところで突然の異動は悔しいですよね。

高橋さん

はい。そして衝撃だったのが、異動先の総務では世代の違いが顕著に現れていたことです。メールにデータを添付する方法がわからない方や、電卓で計算した結果をエクセルに手入力している方がいました。業務内容のみならず、周りで働いている方との世代の違いが強く出ていて、総務で何をすればいいんだろうという気持ちが数年続きましたね。

千葉

そこから結果的に総務で8年間働かれていますが、総務の仕事に対する見方が変わったきっかけはあったのでしょうか?

高橋さん

総務に異動して3年ほど経った頃から、アパレル業界団体の窓口として会合に行く機会が増えました。そこで同業他社の方々と会話をするんですが、何を話せばいいか迷ったんです。そこで、一般的なIR説明会でトップマネジメントが話しているような内容を話そうと思い、経営の方々が話していることの真似をするようになりました。その結果、視座が上がる瞬間が増えていった形ですね。

結局、トップマネジメントも基本何でもやらなければならないので、広く浅くやる点に関しては「総ての業務を務める」総務と結構近しいと思いました。そのタイミングで、総務は真摯に向き合うと可能性やおもしろみが出てくるんじゃないかと気づきましたね。

千葉

高橋さんは総務にいるあいだに自社ビルを建て替えるプロジェクトにも参画なさったと伺いましたが、こちらはどのようなプロジェクトだったのでしょうか?

高橋さん

総務に異動してから4年目くらいに東日本大震災が起こり、老朽化が進んでいた自社ビルに大きな亀裂が入ってしまったんです。そこで、ビルを建て替えるプロジェクトが立ち上がりました。

それに参画することになり、ファシリティマネジメントやコンストラクションマネジメントに携わったことで、総務のおもしろさを体感できるようになったんです。ビッグプロジェクトを経たことで、総務の仕事にのめり込むようになりましたね。

千葉

ありがとうございます。確かに、総務のおもしろさが体感できるエピソードですね。

ミドルベンチャーの総務を経験し、「総ての部門と務めて協働できる」と実感

千葉

オンワード樫山に12年勤務し、次の会社に転職しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

高橋さん

実は、オンワード樫山を辞めるつもりはそんなになかったんです。そのまま働き続けてもいいと思っていたんですが、株式会社トライステージの役員の方からリファラルオファーをいただきまして。一度断ってから2回目のオファーをいただいたんですが、当時はオンワード樫山の決算時期で、昇進や昇格の話が出てくる頃でした。

総務部は年齢が高止まりしていて、私が年上の課長を下ろして課長になるのは無理だろうと思いました。外に出たほうがマネジメント職を目指せるのではないかと考え、オファーを受けて転職を決めた形です。

私は会社で1つ役職が上がらなければ転職しないと決めていて、オンワード樫山でも係長のポジションはもらっていたので、次は課長職を狙おうと思いました。

千葉

キャリアアップを目指した転職だったのですね。それはとても大切な観点だと思いますが、もともとご自身の考え方として持たれていたのでしょうか。

高橋さん

総務への異動を命じられた直後、仕事がおもしろくなかったので転職活動をしていたんです。そして履歴書を書いてみたんですが、説得力がないと感じました。頑張ったことを対外的に表現できるものを考えたとき、役職が上がったというのが1番伝わりやすいと思ったので、キャリアアップにこだわるようになりましたね。

千葉

なるほど。そうして入社された2社目のトライステージでは、総務を担当されたのでしょうか?

高橋さん

総務と人事の両方をやるリーダーポジションとして入社しました。会社ができてからそこまで期間が経っていなかったので、総務という組織体を構築する必要があったんです。関係する方々と話をしながら、組織や体制を作り上げることになりました。

1社目は大きい会社で縦割りのような形で総務の仕事をしていましたが、転職先はミドルベンチャーのような規模だったので、総務の領域はもちろん法務に近いことも担当しました。総務経験者として入社したものの、仕事の幅が1社目と全然違ったので、周囲の方に迷惑をかけながら協力いただいた形です。総務だけでなく法務の観点を持ち、情報システムのようなこともやらせていただいて、本当に鍛えてもらいましたね。役職も1つ上げていただきました。

オンワード樫山にいた頃から総務は「総ての業務を務めて貢献できる」と考えていましたが、トライステージに転職してから総務だけでは進められないことも結構あると思ったんです。バックオフィスでも人事や経理などさまざまな部門の方に協力を仰ぐ機会が増えて、総務は「総ての部門と務めて協働できる」部門でもあると実感しました。トライステージでの経験によって、ようやく一端の総務パーソンになったと感じましたね。

人事から離れたくない想いから始めた交流会が、人脈形成につながる

千葉

2社目のトライステージから3社目の合同会社DMM.comに転職されたきっかけを教えてください。

高橋さん

トライステージで取締役の方とコミュニケーションをするなかで、何のために会社を運営するのかという点に疑問を覚える機会が増えました。そこで転職を考えたとき、友達だったDMMの人事部長からリファラルオファーをいただいたんです。結果として2019年、DMMに転職しました。

千葉

高橋さんは2社目に転職したときも知人の方からオファーをいただいていましたし、ネットワークを幅広く構築されていますよね。社外にネットワークを構築することは、もともと意識されていたのでしょうか?

高橋さん

オンワード樫山にいた頃、人事から総務への異動を命じられたものの人事の仕事が好きだったので、人事という要素から離れたくないと思ったんです。そこで、自分で人事の交流会を始めました。2013年から始めて、人数がどれだけ少なくても月に1回集まる会をずっと続けました。それが気がついたら人脈形成につながっていて、会話する人を社外に増やすことができたんですよね。

千葉

とても素敵なエピソードですね。僕も年齢を重ねるとともに社外コミュニティはすごく大切だと考えるようになりましたが、若い頃からやるのもおすすめできますよね。

高橋さん

そうですね。特に若い頃は1社にしか勤めたことがなかったり、別の観点を持っている人と関わる機会が少なかったりしますが、社会人になると価値観が合わない人とも向き合わなければなりません。多様性を受け入れるというと普通の言葉になってしまいますが、いろいろな人と会話できるように訓練しておくのはおすすめですね。

今までの自分にない価値観を受け入れるのは面倒だと思うこともありますが、困ったときに1人じゃなくなるというメリットもあります。相談先が増えるのはとても大きなメリットなので、私は今も月1で誰かと集まる活動を続けています。もはやライフワークですね。

千葉

とてもいいですね。これは若い読者の方にもぜひ伝えたいです。

苦手分野に向き合うのは辛いが、実直に続ければ力量は下がらない

千葉

DMMには、総務で入られたのでしょうか。

高橋さん

そうですね。経験者採用だったにもかかわらず、転職から1年後に新型コロナウイルスが流行したことで、自分の業務マネジメント力の低さが露呈したんです。直接会話ができず文字でコミュニケーションしなければならない状況になり、全然マネジメントがうまくいきませんでした。周囲の方々に迷惑をかけながら、書くことや言語化に対して向き合いました。

自分の苦手なことに向き合うのはかなり辛かったですが、改善しなければ物事が上手くいかないのは明白でしたし、今は取り組んで良かったと思っています。

これは読者の方に伝えたいんですが、私が苦手なことに気づいて向き合い始めたタイミングって30代後半なんですよね。いつのタイミングでも始めたときはday1なので、始めるか始めないかが1番の問題です。始めてもすぐに成果は出ませんが、実直に続けたら力量が下がることは絶対にない。それはすごく思いますね。

千葉

ありがとうございます。素敵なメッセージをいただきました。

会社を運営する目的に疑問を感じてDMMに転職されたと伺いましたが、実際に働いてみていかがでしょうか?

高橋さん

株主を意識した経営判断というものがないので、すごく心地がいいですね。当社における1番強い判断軸は、経済合理性です。経済合理性に基づきまずは物事を組み立て、そこに事情が乗っかるという流れを毎回同じストーリーで考えられるのは、すごくありがたいことだと思います。

千葉

成長を実感しながら納得のいく経営のなかで働けるのは、素晴らしいですね。

それでは最後に、読者の方にお伝えしたいことがあればお願いします。

高橋さん

当社はアダルト事業の印象が強いと思いますが、現在は資本関係などもなく切り離している状況です。合同会社で有価証券報告書などを提示していないがゆえに一般の皆様に伝わる機会が少ないのですが、会社組織としてはアダルト事業から決別していることはお伝えさせていただきたいです。

DMMは、日本一のバックオフィスを作ると公言しています。前のめりなバックオフィスのスタイルで日本一の総務を実現することが、まともな会社であると知っていただくきっかけにもなると思うので、ぜひご注目いただければ幸いです。

千葉

ありがとうございます。高橋さんのキャリアストーリーを聞いて、総務の仕事に興味を抱く方もいるのではないかと感じました。成長のため自分の苦手分野に向き合う話も、ぜひ皆様に参考にしていただけたらと思います。

高橋さん、本日はありがとうございました。

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