icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

ママを取り巻く3つの孤独 ウェルネスエイトの挑戦

キッカケトーク

2023.04.25

SHARE WITH

  • facebook
  • twitter
  • LINE

こどもの未来トークでは、育休や子育て、ワークライフバランスなど、毎回さまざまなゲストをお招きして子育てを取り巻くさまざまなテーマで議論をしております。
今回は株式会社ウェルネスエイト代表取締役の小島有史さんをゲストにお迎えして、ママを取り巻く3つの孤独についてトークをさせていただきました。

ゲストプロフィール

ゲストプロフィール

小島有史(こじま ゆうじ)/株式会社ウェルネスエイト 代表取締役
1993年生まれ。1児の娘のパパ。子育てをとり巻く社会環境に課題を感じ、「子育てにやさしい社会へ」をテーマに、2022年に株式会社ウェルネスエイトを設立。
子供を育てる女性向けのキャリア支援を通じたメンタルヘルスサービス、子供を連れて運動や美容を楽しめるウェルネス施設の運営計画を推進中。
ホストプロフィール

ホストプロフィール

▼千葉 祐大/子育て支援事業家_こどもの未来株式会社 代表取締役会長
2児の娘のパパ。「子育て支援事業」をライフワークとしており、「ベビーテック」「子育てコミュニティ」「男性育休推進」等をキーワードに活動。3つの会社の経営に携わりながらプライベートでは、「日本愛妻家協会」や「一般社団法人Papa to Children(PtoC)」等、複数のコミュニティに所属。育児セラピスト1級の認定講師でもある

1. 主観的幸福度

1-1 最大のミッション

千葉:毎週火曜日に行っているイベントの第10回目のトークイベントとなります。本日のゲストは株式会社ウェルネスエイト代表小島さんです。小島さんは「ウェルビーイングを作る」という言葉をご自身の代名詞とされているほど、体と心の健康をテーマに活動されていらっしゃるんですよね。ぜひ、お話をお願いいたします。

小島: ウェルネスエイト株式会社を経営しております。この会社の経緯としては、ウェルビーイングをテーマとしているのですが、その言葉の定義を「主観的幸福度が高い状態が半永久的に続いている状態」としています。そのため「主観的幸福度を上げる」ことが最大のミッションです。

1-2 マミフルとは

小島:主に行っていることは2つあり、一つは法人向けで企業組織の組織づくりと健康経営をサポートする事業を行っています。もう一つは、「マミフル」という事業を行っています。ピアコネクト・ファミリーコネクト・ソーシャルコネクトの3つのコネクトをママたちに届ける活動です。また「ココフル」というパーソナルジムを展開しており、「イートフル子ども食堂」という食に関することも将来的には展開していきたいと思っています。

2.男性育休の捉えられ方

2-1 潜在化意識から顕在化意識へ

千葉:企業支援もされていらっしゃるとのことですが、男性育休の捉え方についてについてはどのようにお感じになりますか?

小島:まず顕在的・潜在的と分けられると思っています。時系列で考えてみると、10年前だと男性と女性の役割分担が顕著に表れていた時代だと思うんですよね。それがここ最近では特に役割分担という境界線はなくなりつつあり、夫婦での共同作業というイメージが強くなってきた。そして、育児参加についても男性たちが参加したい意思も発信しやすくなってきている。その観点から見ると、育休は「取得したい」という潜在ニーズから「取得したい」と公に発信できる「顕在ニーズ」へ少しずつ変化してきているんじゃないかと思っています。すごくいい流れになってきたように感じますね。

千葉:僕も時間軸というのは大事だと思います。今は25歳以下のいわゆるZ世代では就職活動時に育休取得率も見ていると聞きますよね。 2021年11月19日パーソルキャリアさんが出していた記事にも「男性社員の育休1ヶ月以上を推奨」と出ていまし、転職活動時にも見られるポイントとなってきているのは間違いないですよね。

https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/corporate/2021/20211119_01/
(2021/11/19 パーソルキャリア株式会社)

2-2 個の時代に必要な支援

千葉: 小島さんが企業に向けて行っているコーチングの中ではどのようにされていますか?

小島:今は完全に「個の時代」だと思っています。この考えは自分の原体験から来ているんですが、自分のことを必要としてくれている組織で働く、ということ自体が社会的なウェルビーイングに繋がると思うんです。実は僕は学生時代のアルバイトの次のキャリアが個人事業主だったため、会社に属したことがないんですよ。いろいろ経験した中で、一番の負荷が圧倒的な「孤独感」でした。性格もどんどん尖っていくし、今ではだいぶ表情も柔らかくなりましたが昔は表情も性格も硬かったですね。だからこそ、個のスキルは大事にしつつ、独立した時に最初のお客様になってもらえるような繋がりを感じられるような支援にしたいと思っているんです。そして、企業ですぐに戦力になれるような環境作りを働く側のママたちへサポートさせていただいています。

千葉:独立する側の孤立感を守りつつ働く側のスキル養成も支援し、コーチングを行っていくということですね。全てを代行していく形というのが、正に今の時代にマッチングしていると感じました。これはライフステージの変化も関わってくると思いますか?

2-3 時間軸の移行によるコンフォートゾーンの変化

小島:育休制度に限らず、制度全般に言えることだと思うんですが、設定された当時はベストだと思われていた制度そのもの自体が、結局はコンフォートゾーンという安心安全領域内で作られていて、働いている側もコンフォートゾーンに戻ってくるように作られているんですよね。ただ、時代は少しずつ変化していくわけで、それに合わせて制度をずらしていくのは非常に非現実的であり負荷が高い作業なわけです。だからこそ「みんなわかっている」のに「変えられない」実態がそこにある。これを解決していくことがずごく大切だと考えています。

千葉: 結局はまだ何かしら課題が残存している、ということですよね。そもそも過去の時点ではまだ育休制度そのものがコンフォートゾーンにマッチしきれていなかったということかもしれませんよね。マッチしていないのに制度だけ先にできちゃった、というような。

小島:はい。例えば、昔は「お金を稼ぐ」ことが一番重要視されていた。僕らの親世代くらいの人たちの子供時代は食べたいものが食べられない。欲しいものは我慢しなければならない、という状況の方がマジョリティーだったわけですよね。でも僕らの世代では欲しいものはすぐ手に入る、近くに行けばコンビニがすぐありネットでも買い物ができる、というような状況の方が マジョリティーとなる。そうなると、お金そのものに対しての執着や稼ぐことへの野心というものにずれが生じているわけです。だからこそコンフォートゾーンに関しての理解や、スッと心に入ってくるか、周囲に発信できるかって時代によって違うと思うんです。

千葉: 背景には高度経済成長や社会的現象があるということですよね。あの時代は「24時間頑張ります」という時代ですもんね。僕らが社会人になりたての時もそうだったけど、今は違う。新しい資本主義や資本主義の限界論みたいなことが通じてくると思いますね。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2021/09/story/story_210928/
(2021/9/28 NHK 資本主義は限界?コロナ渦で見つめ直す社会)

3.環境が人の行動を決定する

3-1 環境設定の重要性

小島:ウエルビーイングと同時にウェルフェア(welfare)があるということですよね。ウエルビーイングは目的であるのに対してウェルフェアは福祉・福利・幸福の意味があるので方法として用いられ、実現させるために環境を整えるという意味になります。 僕は環境が人の行動をある程度コントロールできると考えているので、環境を設計することに自分のエネルギーを使いたいんです。

千葉:確かに一人一人に呼びかけていき、実現させていくのは大変ですもんね。だからこそ環境設定に全力をかける、と。


小島:そう。だから育休取得も「取ったほうがいいですよ」と一人一人に呼びかけるのではなく、「取るのが当たり前」の流れになるような環境設定をしていきたい。子育ては世界で一番素晴らしいリスペクトをするべき仕事だと捉えているので子育ての環境設定がマスト事項と考えています。これって実はベンチャー企業のスタートアップに似てるな、と思って。だからこそ、子育て経験がある人が積極的に採用される環境設定をしたいと思っているんです。


千葉: 確かに、人は環境に依存する生き物ですもんね。その考え方を自社に組織に反映させているのは素晴らしいと感じました。僕も自身の会社「こども未来株式会社」で人材紹介やママの雇用を生み出したいと考えているので、大変共感します。昨今、ワークライフバランス、とよく言いますが育児は切り離せないからこそ、コントロールできない育児を経験してきたママはたくさんの不条理なことを経験してきている。その分対応力は圧倒的に高いと思うんですよね。ここで企業側として、自社での雇用の実態はどうですか?

3-2 求人セグメントの切断による人材採用効率化

小島:今は圧倒的に売り手市場ですね。もちろんキャリアやスキルがある人にはなりますが、仕事をかなり選べる状態です。企業のスタートアップ含めて、やはり優秀な人材の需要は常に高いので有利な市場になっていますね。

千葉:ただ、実際に子育て世代の求人情報で「テレワークOK」「時短」「子育て」など条件絞り込みをかけてみると急に買い手市場になる。これはどう考えますか?

小島:これがまさにコンフォートゾーンの実態だと思います。環境を変えていく負荷とこの違和感が噛み合っていない。変えたいのに変えられない。有料人材紹介の世界でも環境自体は変化しない。だからこそ僕は新しい発想で「セグメントを切る」ことにしたんです。

千葉:「セグメントで切る」?斬新な発想ですね!もっと詳しく教えてください。

小島:ベンチャー企業に必要なのは、多くの作業領域で丁寧且つ圧倒的な経験値を持つ人材確保だと考えています。だからこそ全体的な「経験者採用」ではなく、業務を細かくセグメントし、その業務での特化した「経験者」として採用していく、というセグメント採用です。

千葉:なるほど、一つ一つの「作業」として捉えていくんですね。今、2000年に比べて起業することが普通になってきている。それを考えるとベンチャー企業の増加率に合わせて人材紹介業も考えていかなくてはならない、と。

小島:そうです。将来独立したい新卒社員と、マスト業務人材で困っているベンチャー企業がいた場合のコミュニケーションコストも減らしていけるように考えています。そのため、働く側のママだけではなく、企業側の解決も同時にできる事業として今環境設定をしている、という自負があるんです。

千葉:大きな話ですよね。一企業の経営者として、国を動かす、社会を動かすという大きな視点で事業を捉えていく意識が大事なんだと思いました。今まで企業向けの話を伺っていたので、今度は個人向けの「マミフル」のお話をお伺いしてもよろしいですか?

4.孤立感と自己肯定感の低下をどう防ぐ

4-1 3つの“孤独”

小島:「ママたちの本当の課題は何だろう?」と気になったことがきっかけだったんです。妊娠中や産後2・3年以内の方と話してみたいと思いある方とのインタビューで答えが見えてきた。それが「3つの孤独」でした。

千葉:「3つの孤独」?またすごいパワーワードが出てきましたね。

小島:はい。3つの孤独はこの3つです。

《3つの孤独》
1. 大人とコミュニケーションが減る孤独感
2. 当事者と支援者の情報量の差がある孤独感
3. 自己肯定感が下がってしまう孤独感

4-2 孤独が生じる理由と共通点

小島:また、これらが3つの理由から生じることもわかりました。全ての共通事項として、「社会的に自己肯定感が上がらなくなるような孤独」という側面があります。

《3つの理由》
1. 子供と接する経験時間がパートナーよりも長いため生じる
2. 当事者とパートナー・周囲のサポートする祖父母との情報量格差により生じる
3. 社会からの必要性に対して不安感や寂しさを感じることにより生じる

4-3 3つのステージ

小島:そこで「3つの孤独」を解決すべく立ち上げたのが「マミフル」です。これは無料コミュニティで3つのコミュニティに分かれています。「ママだからできない」を「ママだからできる」に変換するための環境設計なので「マミーフルネス」の略で「マミフル」なんです。


《3つのコミュニティ》
1. ピアコネクト:ママたちの横軸のつながりを提供する環境設計
2. ファミリーコネクト:夫婦で共通言語を作り視覚化した上で話せる環境設計
3. ソーシャルコネクト:ベンチャー企業で働けるようにサポートする環境設計


千葉:これは「チャイルドペナルティ」から「チャイルドボーナス」に転換する素晴らしい民間設計だと思います。潜在した孤独感を表面化し顕在した孤独感にして解決していくというロジックに繋がる。子供の月齢で悩む内容は世界共通であるはずだからこそ、本来は国が全力で解決していって欲しい事項ですよね。


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD063CC0W2A900C2000000/
(2022/919出産すると不利?「チャイルドペナルティー」どう防ぐ )

5. パートナーコミュニケーション

5-1 パパとママの精神的健康面と安全面を守るには

小島:そうですよね。だからまず、僕はママの先にいるパートナーとのコミュニケーションが一番解決すべき問題度と思っており、精神的健康面と安全面を守るためにコミュケーションを取れる環境設計を提供したいんです。ママがファミリーという「企業」の中での「オーナーである」と考え、ママが幸せならパパも幸せ、二人が幸せならファミリーみんなが幸せ。
だから「ファミリーコネクト」が核となってくる。二人のコミュニケーションが取れているとファミリー全体の自信に繋がる。そしてウィルビーイングを実現してもらう。そのためにコンテンツを提供するのではなくてコミュニケーションを強固にできる場の設計に命かけてるんです。

千葉:なるほど、話が脳内で綺麗に繋がりました!素晴らしい事業ですね。全国のパパ・ママに伝えたい内容だと思います。本日は素晴らしいお話をありがとうございました。

RELATED

NEW

37 件