パパ力検定クイズ 家庭保育をパパ視点で見る
こどもの未来トークでは、育休や子育て、ワークライフバランスなど、毎回さまざまなゲストをお招きして子育てを取り巻くさまざまなテーマで議論をしております。
今回は先日『ふたりの子育てがもっと楽しくなるパパのための育児クイズ115』を出版。育児クイズのパパ力検定というパパ向けのサービスの運営をされている高橋幸恵さんとパパ視点での家庭保育についてトークいたしました。
1. パパ力検定とは
1-1 育児クイズで育児力をアップさせるサービス
千葉:本日のゲストは,育児クイズのパパ力検定というパパ向けのサービスを運営されている髙橋さんです。髙橋さんは今回のテーマにもぴったりで、さらにビッグニュースもあるということですね。是非自己紹介をお願いします。
髙橋:2020年に独立してLINEで1日1問配信する育児クイズパパ力検定というサービスを作りました。前職はNHKの出版社で編集に携わっておりました。退職後コロナ渦ということもあり、できることが限られてしまいましたが、自分にできることを模索してきました。クイズで育児のことを気楽に楽しく学び、育児のハードルを下げるお手伝いができるサービスがしたいと思って始めました。
クイズ作成からは2年ほど経ち、今現在、クイズは300問ほど作成し、LINEでは250問ほどをご提供済みです。また、1月には書籍を出版いたしましたので後ほどお話しできればと思っています。
1-2 コロナ禍で生まれたパパ力検定のきっかけ
千葉:スタートした経緯やきっかけを詳しくお伺いさせていただいても良いでしょうか。
髙橋:実はコロナ禍で、子どもが当時5歳・3歳で保育園も休園になってしまい二進も三進も行かない状態になってしまって。ただ、その中でも自分のできることをしたいと思うようになりました。このとき「BabyTech®️ Award」というものに出会い、アイディアを出品してみたところ特別賞をいただけたので、それが後の大きなきっかけとなりました。
そして、パパたちに向けてのサービスというものにニーズがあるかもしれないと気づけたのは、当時の夫の一言だったんです。「育児中、何が正解かわからないし、合っているのかわからず孤独を感じていた」と。そんな夫に背中を押してもらえたのはすごく大きかったですね。
2.パパ力検定クイズ作成の成功要因
2-1 専門家のアドバイスを活用したクイズ作成
髙橋:クイズ作成にはさまざまな専門家にご協力いただきました。保健師、小児科医、救急救命士、保育士など育児や子育てに関する分野で活躍する人たちからの知識や経験をクイズに取り入れ、より実践的な内容になったんです。また、自分自身たくさんの学び直しの機会をいただくことができました。
クイズには取り入れられなかったけれど、監修者の先生方から教わった、深くて良い話もたくさんあります。たとえば、「数字にとらわれない」とか「ゴールを決めない」とか、「ちゃんと駄々こねを経験させる」といったお話とか。そうした内容もまとめて、書籍にしました。この本をぜひリラックスして読んでもらい、自分と赤ちゃんとの繋がりがもっと愛おしくなるような時間にしていただけたら嬉しいですね。
千葉: 素敵ですね。やっぱり、経験者の方々の声や、実体験や思いと言うのはすごく大事なものだと感じました。
3. パパ力検定が育児にもたらす効果とは?
3-1 初心者必見!パパ力検定とは
髙橋:育児クイズパパ力検定は、育児を経験した人たちからすると簡単に感じてしまう部分もあり、もっと難しい捻った問題をやりたいというお声もいただきました。そこで基本的なことから具体的な育児方法や、事故予防・救命法・応急処置など多岐に渡り、難易度が高い問題も散りばめました。
育児クイズパパ力検定では実際の育児のイメージトレーニングができるという感想もいただきます。はじめて育児に向き合うパパからの声では、実際の育児の現場で脳内マッチングができたというお話があるんです。さらに嬉しいのは、「ママも知らなかったことをパパが知っていて、シェアしてお互い嬉しかった」と言うほっこりエピソードもいただきました。
3-2 情報迷子からの脱却
千葉:情報の共有って大事だと思うんです。情報は色々なところから取れるので特に育児中は「情報迷子」になったりしますよね。その「情報」や「コンテンツ作成」に携わっている生のお話を伺えて、非常に貴重なお話でした。
髙橋:実は私自身の経験談として、今まで活字が大好きだったのに、出産後活字が読めなくなってしまい、論理的に物事が考えられなくなってしまった経験があるんです。そんな時、難しくなくていいから、簡単なものでいいから、どこかに情報がまとまってのってないか本当に探しました。そして自分と同じ状況の人が他にいれば繋がりたい、という切実な思いもありましたね。それが今のサービス作成の原点になっているのかもしれません。
4. 子育ての極意はシンプルさ
4-1 極意!子育てとは
千葉:そんなことがあったんですね・・・その後、今はどうですか?
髙橋:やっぱり当時はホルモンの影響だったんだろうなと思うんですが、今は大丈夫です。勉強していく中で改めて感じたのは、勉強すればするほど「子育てはシンプル」だってことに行きつきました。もちろん、子育て真っ最中の当時は情報を知らないし、勉強不足も経験不足もあるから不安になっていたわけなんですが、今となると実にシンプル。子育て論とか、なんとか論に振り回されるのではなく、大切なのは、目の前にいる我が子が一番の情報源だということなんですよね。
4-2 次世代に向けてのポジティブメッセージ
千葉:パパの男性育児参加や男性育休についてお話をしているところですが、高橋さんは出生数の低下についてどう思われますか?
「出生数初の80万人下回る可能性“総合的対策進める”官房長官」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221128/k10013905831000.html
(NHK NEWS WEBより抜粋)
髙橋:出生数という観点ではあまり数字に惑わされたくはないと思う一方で、世の中での選択肢が増えてきていることの表れと感じました。子供は持ちたいけど働きたい、子供との時間を大切にしつつ自分自身のアップデートもしていきたいということかと。選択肢を増やし、選択できるための情報も増やすことが大切なのではないかと思います。
千葉:選択肢を増やすと言う観点で言えば、個人で見ればさまざまな選択肢はあったほうがいい。一方で国家としてみた時には出生率が下がるのは考えないといけない、と切り口によって見方が全く変わってくる。でも僕たちが前の世代から受け継いだ社会だからこそ、昔に比べたら育児もしやすく、育休も取れるようになってきた世の中に感謝しつつ、今度はどう次世代にポジディブに発信していくかがテーマなのかと思いますね。
髙橋:そうですよね。男性育休を取られたパパが言った一言で「こんなに一人のママにかかる負担は大きかったんだ」と言う言葉があって。この方はもう2人目の時には絶対男性育休をとることを決めていらっしゃったそうです。ただ、女性の育休取得時に比べて、男性育休取得時には圧倒的に情報量不足だったそうで、先輩ママさん達に聞きまくったとおっしゃられていました。
4-2 愛知銀行の育休取得
千葉:パパ達にとっては情報だけではなく、ネットワークもまだまだ足りない印象がありますね。愛知銀行という地方銀行が有給休暇を10営業日取れる育児休暇制度を導入したことが注目を集めましたね。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66356090Y2A121C2L91000/
(2022/11/29付 日本経済新聞地域経済より抜粋)
髙橋:こうした取り組みをどんどん行ってほしいですよね。関連話題としては育休退園の問題も考えさせられます。
千葉:保育園に預けていても、育休取得すると退園させられてしまうということですよね。そうするとまたここで家庭保育の重要性に結びつくわけです。家庭保育で役に立つ情報満載の本を書かれたとのことですので是非、本の出版の背景などお話し伺いたいです。
5. 髙橋さんの出版本『ふたりの子育てがもっと楽しくなるパパのための育児クイズ115』
ふたりの子育てがもっと楽しくなるパパのための育児クイズ115
著者:髙橋幸恵
出版:クロスメディア・パブリッシング
【Amazonより抜粋】
引用元:
Amazon.co.jp: ふたりの子育てがもっと楽しくなる パパのための育児クイズ115 : 髙橋幸恵: Japanese Books
髙橋:育児クイズパパ力検定から生まれた本を出版しました。クイズ115問のほか、専門家のコラムや、クイズ制作秘話、そして、読者特典として動画で赤ちゃんのための救命講習や、その時期の赤ちゃんの様子が見られる動画なども収録しています。実は、先輩パパ・ママさんたちからの体験談もたくさん載せているので、そちらも好評です。
「おわりに」では、子育てを通じた「価値観のアップデート」に触れています。子どもと向き合う現場では、自分の器を広げていくことができると思うので、そういうことにも気づいてくれる人がいたら嬉しいです。
千葉:素晴らしい考えですね。ウェブの記事を見る人、本を読む人、様々だと思うのでより多くの人に知ってもらえたらいいですね。今日はたくさんの有益なお話をありがとうございました。
株式会社Mama’s Sachi代表。編集者。認定子育てアドバイザー。2児の母。
出版社での経験を活かし、LINEを活用した「育児クイズパパ力検定」を考案。「学びをもっと楽しく、もっと気軽に」「子どもとの時間を、やわらかに」をモットーに、コンテンツ制作やセミナーの企画・実施、メディアでの記事執筆などにも携わる。
著書『ふたりの子育てがもっと楽しくなるパパのための育児クイズ115』