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赤ちゃんと作る未来 ママの働き方の新しいカタチ

キッカケトーク

2023.06.21

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キッカケトーク〜赤ちゃんと一緒に働ける社会を。〜

《ゲストプロフィール》

《ゲストプロフィール》

青木水理(あおきみのり) 氏
日本おひるねアート協会 代表理事

16歳長女,10歳長男,4歳次女の3児の母。

長男の誕生以来、おひるねアートを趣味で撮り始め、ブログ開設後わずか4ヶ月で初の写真集「赤ちゃんのおひるねアート」を主婦の友社より出版。
TVCMや雑誌広告の作品制作を手がけたのち、2013年に日本おひるねアート協会を設立。
全国約600名のママ講師を輩出し、年間5万人の赤ちゃんを撮影する。
当初より子連れで仕事を行うスタイルを貫き、子育ては人生のスキルとして13年子連れ出勤を実践。
『赤ちゃんと一緒に働ける』環境の提案に力を入れている。

《著書》
「赤ちゃんのおひるねアート」主婦の友社
「おひるねアート」宝島社
「おひるねアート撮影術」小学館

おひるねアートとは

おひるねアートのスタート期

千葉:毎週火曜日のお昼に行っているイベント、「こどもの未来トーク」、第26回目となります。本日のゲストは日本おひるねアート協会代表理事の青木さんです。本日はどうぞよろしくお願い致します。

青木:一般社団法人日本おひるねアートという「赤ちゃんに背景や小物をつけて撮影する、赤ちゃんと一緒に作るアート写真」という定義で2013年に設立し、今年10期目を迎える団体です。私にも3人子供がおり、2人目の息子が生まれた時に趣味でおひるねアートを始めたのがきっかけでした。当時はいわゆる“趣味企業”が流行っていた時代でブログ企業もありましたね。実際に私自身もアメブロスタートでした。そこから入り、「こどもと一緒に働くこと」「こどもと一緒に働く未来を作ろう」と想いがきっかけとなり、今に至ります。

千葉:こどもと一緒に作る未来って素晴らしいですね。さらに10周年を迎えるということでおめでとうございます!コロナもあったこの10年、いかがでしたか?

青木:確かに大変だったこともありました。ここ最近はようやくコロナもひと段落してきたという社会の流れもあり、リアルイベントが復活してきています。

一般社団法人日本おひるねアート協会のご紹介

千葉:もっと詳しくお伺いしたいです。その前に一般社団法人日本おひるねアート協会についてご紹介いただけますか?

一般社団法人 日本おひるねアート協会
https://www.ohiruneart.com/

青木:ありがとうございます。まず、一般社団法人の協会という形態であるため認定講師制度を設けています。おひるねアートの認定資格を取得いただいた後、認定講師の方々が個人事業主として全国で活動しています。そのサポートをさせていただいていることも、事業内容の一つです。特徴としては「企業様とつながること」を大事にしており、企業様の販売促進のサポートをさせていただいております。具体的にはおひるねアートを提供し、講師をそこへご紹介させていただく形ですね。この形により認定資格を取った講師が活躍できる場所を協会設立当初から基盤として運営してきています。

千葉:資格を取って終わりではなく、しっかり並走してくれるということですね。認定講師も安心して活動でき、企業側から見てもPRとして高い価値があると思ってもらえそうですね。

青木:ありがたいお話です。最近だとカルビーさんやおたふくソースさんへ提供させていただいております。企業様、認定講師の方々、私たち一般社団法人日本おひるねアート協会3方向での成功に繋げさせていただくことができたのではないかと確信しております。

千葉:先程のお話であった「リアルイベントが戻ってきている」というお話がありましたが、ここで皆が喜べる形に繋がったということですね!

子育て世代の働き方

ママの新しい働き方

千葉:一般社団法人日本おひるねアート協会ではママだけではなく、パパもいらっしゃいますか?また、働き方としては本業・副業どちらの形も実現できるのでしょうか?

青木:そうですね。パパも一定数いらっしゃいますよ。パパ講師さん、ママ講師さんたくさんの方が全国で活動してくださっています。会社員だった方が先日独立されて、福岡でコミュニティスペースも運営しそこでのおひるねアートを積極的に取り入れてくださっているパパ講師さんや、輸入業をしていて、おひるねアートを取り入れたいということで受講してくださったパパさんもいらっしゃいます。仕事の幅が広がると、いう点で喜んでいただきながらご活躍されているご報告をいただくと、本当に嬉しいですね。

千葉:副業でされる方もいる一方で、本業の仕事に生かせるという利点ですね。特にイベント時にこの資格があることや、横のつながりがあるということが多方面で役に立つ可能性があるということですよね。そういった方々がパパ、ママ限らず増えていくような気がします。

子連れ出勤という信念

千葉:周りでは今ベビーカーで出勤されるパパ、ママをよく見かけるのですが、青木さんご自身もベビーカー出勤でいらっしゃったと伺いました。

青木:そうなんです。ベビーカー出勤頻度は高かったですね(笑)長女の時はフリーランスで仕事をしていたので現場に連れて行ってそこでベビーシッターさんに頼んだり、一時保育を利用していました。そして2人目の息子が生まれた時、成長を見ていたいという気持ちが強くなり、一年くらいは専業主婦になりたいと思い始めていました。ありがたいお話なのですが、その気持ちとは反比例するように、お仕事がたくさんいただけるようになってきていたんです。
いただいたお仕事は責任持ってさせていただきたい、でも息子とは離れたくない。絶対に成長を毎日ずっと見届けていたい。その気持ちをなんとか両方実現できる方向を模索した結果、「息子と一緒だったら仕事をお引き受けいたします」という自分のスタイルを確立することにしたんです。自分の信念を貫かせていただいた結果、次第に周囲から受け入れていただけるようになってきたのを感じました。

千葉:信念を持って意思を表示し続ける大切さを感じますね。子連れ出勤いいですね!大変ではなかったですか?

青木:法務局や税務署に行く際や、大手企業様の打ち合わせ時には周りに赤ちゃん連れの人はいないので目立っていたとは思います(笑)

赤ちゃんと一緒に働ける社会へ

周囲の理解と協力あってこそ

千葉:では、このあとのテーマ「赤ちゃんと一緒に働ける会社」の側面のお話に入っていきたいと思います。
初めて子連れ出勤をした時どうでしたか?

青木:まず、通勤が一番難しい問題でした。朝はどうしても満員電車になってしまうので、乗り過ごしたり、各停電車にしたり、最後は出勤時間自体を変えたりしましたね。初めての出勤は緊張しましたが、慣れれば行動範囲も広がるので徐々に余裕が出てくると楽しめるようになってきました。こどもが一緒だと電車ひとつ、出張ひとつ、見える景色がまた違ってくるのは大きな発見でした。ただ忘れてならないのは、周りの方の理解やご協力があって成り立つ、ということです。常に自分を取り巻く環境に感謝し続けていました。プライベートでも仕事の時でも、街全体・社会全体で見守ってもらっているということなんだと思います。

職場の受け入れ体制

千葉:今の時代に求められていることなんだと感じますね。だからこそ、企業側もそうした意識をもって、積極的に子連れ出勤を受け入れていくべきなんだと思います。男性育休の推奨や、女性管理職の推進等、パパ、ママにとってもっと働きやすい環境を作りましょう、という時には制度と風土どちらも必要不可欠要素である。形だけではなく、そして最初だけで終わることなく継続していくためには、周囲の根本的理解を伴うということですね。

青木:周りの目や公共機関を使うときは特に気を使ってしまいます。もう少し寛大に、社会全体・地域で育てていくと言う観点を皆で持っていけるような未来が理想ですよね。

自治体初 愛知県豊明市の取り組み「ワークwithチャイルド」“ワチャ”

千葉:「赤ちゃんと一緒に働ける社会を。」ということをテーマに掲げたときのイメージを教えてください。

青木:まずお伝えしたいことは「物理的な距離ではない」ということですね。気持ちの中で仕事とプライベートを分断することをなくしていきたいと思っているんです。もちろん、いつでも全てがこどもと一緒ということは難しい場面もあるとは思います。事実として生じることもあることは想定されるので、その際はベビーシッターさんや一時保育利用など臨機応変に対応する。「こどもと自分の世界」「仕事と私の世界」という、分断された自分像をなくしていきたい想いが強くありますね。

千葉:自治体の例では、愛知県で全国で初めて“子連れ出勤”の取り組みを行ったというニュースがありました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/530334547924a8c7a24b8a4483246198c1763b5c
(2023/04/04 20:00配信Yahoo!ニュース 「全国の自治体で初”子連れ出勤”OKの市役所」)
https://mainichi.jp/articles/20230216/k00/00m/040/227000c
(2023/02/16 18:21毎日新聞 「職員のいずれ出勤 愛知・豊明市が試験実施」)

青木:”子連れ出勤”というワード自体が良いイメージがないのかもしれませんね。社会の厳しさや、個々の立ち位置や環境でさまざまな解釈や意見が出てくるのではないでしょうか。ただ、「出来ない」としてしまうと、そこから先へは何も進めなくなってしまう。だからこそ、できる人から、できる環境にいる人からやってみる、というスタンスが大切なんだと思います。


千葉:この愛知県豊明市の市役所事例では、パパさんのお話なんですよね。それが素晴らしいと感じました。「ワークwithチャイルド」愛称は“ワチャ”。職場の中でこどもがワチャワチャ過ごしてもいいよ、ということからの愛称のようです。自分の席の近くで子供の世話をする他、子供と一緒に専用の部屋で過ごすこともでき、仕事は持ち出し専用のPCを使って仕事をする。豊明市の子育て支援課のインタビューでは、「可能であれば一度こどもを連れてきてもらい、試験実施なので意見を教えてほしい」と、村松清子課長がおっしゃられていますね。


青木:この取り組みは素晴らしいですよね。また、こどもがパパ、ママの仕事をしている姿が見られるのもすごく良いとも思いますし、実際に「ママの仕事をしているところが見れて良かった」という8歳の男の子のご意見もあるようですね。親の仕事に対する理解がこどものなかで自分なりに生まれるのは、将来的にも意味がある行為になるのではないかと期待しています。

異次元の子育て支援

過去から学ぶ本来の子育ての姿

千葉:現在、岸田政権では「異次元の少子化対策」として年頭に掲げていました。少子化対策の柱としては
1)児童手当など経済的支援の強化 2)幼児教育・保育など子育てサービス拡充 3)働き方改革の推進と制度充実、の3本柱と言われていますが、やはり官民連携していきつつ国が旗揚げをしていく、ということが重要ですよね。

青木:この制度によって男性育休や夫婦での育児が増えることはいいことだと思います。ただ、一方で核家族の助長になっていないかという問題は、コロナ禍だからこそ加速した側面もあると考えています。夫婦2人で協力しているのでワンオペは避けられてはいるが、ツーオペになってしまっている。頼る先がなくなり、夫婦と赤ちゃんが孤立してしまうという図式ですね。慶應義塾大学経済学部特任助教の論文ではこのようなデータが出ています。

論文Today コロナ禍における夫婦の労働と子育て配分|日本労働研究雑誌 2021年12月号(No.737) (jil.go.jp)

また、本来人間は個人ではなく、各家族内だけでもなく、社会全体で子育てするようにできているはずなんですよね。
内閣府からも「家庭と地域における子育てに関する意識調査報告書」が発表されています。だからこそ、男性育休の取得により、ツーオペだから良い、とはならない。もちろん企業の男性育休推進によりワンオペは避けられパートナーに頼れるような社会になってきたとはいえ、頼れる先やこどもを預けられる先は多数あった方が良いとは思います。

平成25年度家族と地域における子育てに関する意識調査報告書(概要版) (cao.go.jp)

結局は雰囲気や空気が助けとなる

青木:預け先と言っても、保育園や託児所だけではなく、「社会の中で温かい目がある」ということが重要だと思っています。赤ちゃんが泣いてもみんなで見守っているような雰囲気や、「大丈夫だよ」という空気で救われるパパ・ママは必ずいると思うんです。


千葉:手を差し伸べる、実際に階段で荷物を守ってあげるというちょっとした周囲の目、ですよね。


青木:そうそう。あたたかい周囲の目があると、本当に安心して子育てできるんです。雰囲気や空気で救われるんですよ。WEラブ赤ちゃんプロジェクトなど、本当にいいなと思います。


https://woman.excite.co.jp/welovebaby/
(ウーマンエキサイト| WEラブ赤ちゃんプロジェクト)

本当の意味での優しい社会とは

家族のため?こどものため?自分主体を大切に

千葉:社会全体を子育てしやすい社会にするという考え方は、対個人・対法人・対行政という様々な種類がある中で平等・公平性観点から見ると、また難しいと感じます。こどもがいる家庭、いない家庭も社員にはいるでしょうし、「こどもがいる人ばかり」という意見は出ないようにしなくてはならない。育休ひとつ取っても属人的にならないように、制度の整備の必要性が企業には求められ、個人にはの選択の自由による部分も出てきますよね。


青木:だからこそやっぱり、空気感や周囲の理解が不可欠ということにつながるんでしょうね。ここで大切なのが「自分のため」という観点だと思っています。家族のため、こどものため、という「親のスイッチ」ではなく「自分のため」、と敢えて自分主体にすることで自分の意思を発信し、こどもを通して自分の仕事や時間、人間的成長を感じていく感覚ですね。

こどもがいるからこそできる社会貢献

千葉:そして最後に、「赤ちゃんと一緒に働ける社会」に一周して繋がる、と。


青木:社会と繋がるということも、こどもを通してできることを考えると、「こどもがいるからこそできる社会貢献」はたくさんあると思っています。最近読んだ本で、「DIE WITH ZERO」という本があるのですが、「人生で一番大切なことは思い出作りだ」というフレーズに大変共感したんです。


Amazon.co.jp: DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール eBook : ビル・パーキンス, 児島 修: 本


青木: 思い出のために生きていると考えると、全部が経験に見えますよね。こども時代の思い出は自分の人生の要になる。だからこそ自分の子供にはたくさんの経験をさせてあげて、「あなたは大拙な存在なんだよ」というパパ、ママの想いを幼少期にしっかりと植え付けて送り出してあげたい。その一つの想いとして「おひるねアート」という形があるということを、たくさんの方々に知ってもらえたら嬉しいですね。

千葉:素晴らしいですね!僕もその本読みたいと思います。是非これからも頑張ってください。本日はたくさんの貴重なお話をありがとうございました。

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